イタリア料理店の隆盛が続いている。
東京では、月に1軒は新店が開店し、大衆的な店から高級店まで百花繚乱の状態である。
そんな中で、トラットリアやタベルナといった、大衆食堂の呼び名を店名につける店が増えてきたのは、実に喜ばしい傾向である。
しかし実際は、トラットリアと名乗っていても、料理の値段が高く、量も上品な、リストランテク
ラスの店が多いのも事実である。
その点、ここ「ピア・ヌォーバ」は、「手間をかけずに、安く美味しいものを出す」 という、トラットリアの精神を開店以来貫いて、うれしい。
そんな精神はパスタランチ(1100円)にも宿り、 “バジル” “カルボナーラ” にんにくと唐辛子” “ボンゴレ””トマトとベーコン”のから1つが選べ、サラダとデザート、コーヒーがつく。
量は、乾めん状態で100グラムと他店より多く、小山のように盛られて登場する。
中でもおすすめは、程よく玉子に火が通された薄黄色のソースが、 とろりとスパゲッティにから
んだ、“カルボナーラ”だろう。
食べると、玉子の甘みが口いっぱいに広がって、笑いだしたくなる。
玉子の甘みと、わずかにコクを補う控えめな生クリーム、パンチェッタ (塩漬け豚肉) やパルミジャーノの塩け、黒胡椒の刺激が見事にまとまっている。
くどさなどみじんもない。 まろやかにまとまった味に突き動かされ、量の多さもいとわずに、一気
に食べ終えてしまう。
もし、これで癖になったら、次回はペンネやリングイーネが盛り合わされた 秀逸な“日替わり盛り合わせパスタランチ(1600円) をおすすめする。
閉店
