武雄の酒亭「あん梅」ここに極まれり。
料理に器、酒の揃えにサービスと、一点の曇りもない。
満席でも料理は滞ることなく、チェイサーの水がなくなりかけて、声をかけようと思った瞬間運ばれる。
クシャミをすれば、たちどころに新しいおしぼりが手渡され、ティッシュで鼻をかめば、すっとおかみさんが手を出して、かんで畳んだティッシュを下げてくれる。
そして肴だ酒だ。
突き出しは鶏出汁の重湯で、冷え切った喉を開き、おつくりは、穴子の炙りにアジに石鯛、サヨリにタコ。アンコウの卵煮に、あんこうの胃袋ゆびき。百合根白和えにタコの酒煎り。中心をレアに仕上げた、穴子の天ぷら、トラフグの胡椒煮ときたもんだ。
こいつらを東一や黒龍が受け止める。
そして締めは、トラフグ雑炊に炙り鯖寿司。
器や盃も、有田の若手作家ものから年代物まで、料理と酒を盛り立てて、幸せな時間を増幅させる。
ああ、この店が近くにあったらなあ。