世の中”初”と名がつくものは、心が焦らされる。

食べ歩き

世の中”初”と名がつくものは、心が焦らされる。
初恋しかり、初霜しかり、初春しかり。
今年も「入谷鬼子母神のだや」で、”初うなぎ”をいただくことができた。
成魚となって半年、人間にしたら15.6の頃である。
大人同様、大きくはなっているが、まだ筋肉も脂も、子供の気配を残している。
そこがいじらしい。
噛む必要もなく、舌の上で幻のように溶けていく。
鰻の鰻たる、甘やかな余韻を残したまま消えていく。
大人に向かう勢いを感じさせながらも、ひ弱さも漂わせる鰻に、思いを馳せる。
そこには、未来への希望と不安が交錯した感情がうごめいて、毎年のことながら出会えた味わいに感謝をし、”初”の意味を、そのありがたみを噛み締めた。