まとうだいは

食べ歩き ,

  • まとうだい

まとうだいは、海の底でじっと餌を待っているようだった。
40分かけて加熱された魚は、しっとりとみずみずしく、まだ命の滴を湛えている。
牡蠣をミキサーにかけ、サバイヨン風に仕上げたソースにからめて食べたらどうだろう。まとうだいのうま味の後から、牡蠣のミネラルが、磯香が追いかけてくる.
魚の淡い甘みが、牡蠣や卵黄と呼びあい、共鳴して、一瞬味わいが濃くなった。
それは獰猛に貝や小魚を食べまくる、食い意地のはったこの魚の性、本質なのであろうか。
デイルやズッキーニの青い香りが、海底のわかめも連想させ、いよいよ我らは深い深い海へと引きずり込まれる。
「イルマンジャーレ」にて。

閉店