熊の脂は新雪だ。
純白に輝いて。目を洗う。
鍋に入れれば、ちりちりと縮まり、
甘い記憶だけを残して、溶けていく。
さらり、さらり。
そのはかない溶け具合を楽しんで顔を見上げれば、誰もが笑っている。
肉は、獣の片鱗もなく、牛肉より純潔で雑味がない。
それこそが、野生である証なのだろう。
きれいな味わいの肉を噛み締めていくと、奥底から凛々しい味が顔を出し、心をわしづかむ。
よせては返す、純潔と凛々しさに翻弄されながら、ただただ熊の滋味に落ちていく。
徳山鮓の宴。
熊の脂は新雪だ
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