東京とんかつ会議118
小石川「洋食フリッツ」ロースとんかつセット2000円
【肉2衣3油3キャベツ2ソース3御飯3味噌汁―お新香(サラダ)3特記デザート合計20点】各項目3点満点特記1点総計25点満点
「今度とんかつ屋を作るんだ」。高級創作洋食店、赤坂「旬香亭」のオーナーの斉藤元志郎シェフが、嬉しそうに語った時のことを思い出す。それが2003年に開店した赤坂「フリッツ」だった。
カフェのような明るい店内は、フライ好きな客で溢れた人気店だったが、10年ほど経っって残念ながら閉店した。その後、そこで働かれていた方は、御茶ノ水「ぽんち軒」や、青山→門前仲町「洋食かつ兎」などをやられている。
ここ「フリッツ」の店主は、やはり働かれていた料理人で、斎藤さんから店名の許可を得て、店を始めたという。「ロースカツ」を始めコロッケやカレーなど、かつての店で人気を得ていたメニューも多い。
お昼のロースとんかつセットは、サラダにご飯、デザートか飲み物がつく。
そのミニサラダからしていい。みずみずしく、ドレッシングのあえ具合も良く、作り置きでないのが伝わってくる。
そしてローストンカツは、姿が端正で美しい。肉は、やや肉汁感にかけるものの、きめ細かく、噛む喜びがあって、ロースカツを食べたぞという喜びがある。またサクッと揚げきりのいい中粗衣は、肉に密着し、香りにコクがあって、肉を生かしている。油を切るためか、下に経木が敷かれている。だが、休ませる時間なのか、経木に染みた油分のせいなのか、下側になった衣が、かなりしなっていたのが勿体無い。
ご飯やソースなども上等。洋食店ゆえ味噌汁がないので点数が入らないが、それでも20点を越えた、秀逸なトンカツである。和辛子ではなく、ディジョンマスタードが添えられるが、カツにたっぷりつけても合う。特に端の脂の多い部分との相性がいい。
味噌汁がつかないのは、店の性格上仕方がない。だが食べながら、改めてトンカツ定食における味噌汁の存在意義を痛感した。