〜酒と魚天国〜
この店に初めてきた時のことは忘れない。
勝手がわからぬ僕に、ご主人が言った。
「握りが食べたくなられたら言ってくださいね。そう出ないとうちは延々につまみ出しますから」。
酒のつまみはどれも、貝なら殻を剥くとこから始まる。
魚なら、一匹をさばくところから始まる。
それでいてタイミングよく、出してくれるのである。
さらに酒の揃えが素晴らしかった。
魚を肴の味を膨らまして、幸せに誘う酒ばかりである。
凱陣や長珍が出されて、またその燗具合が絶妙なことを喜んでニコニコしていると
「お客さん、お酒詳しんですか」とも聞かれた。
そして、どうやら握りを7種類くらい食べたらしいのだが、、ちゃんとお勘定も払ったらしいのだが、まったくその記憶がなかった。
今日も飲んだ。食べた。
そして変わらず、天然ウナギはその場で裂き、鱧もさばき骨切りする。
珍しい鱧の胃袋と浮き袋は食感の妙があり、レバーは、最初は綺麗な味と思っていると奥底からしぶといえぐみが顔を出すのであった。
その全容は別記で
中井玉寿司