東京とんかつ会議 第52回 銀座「梅林」の「銀カツ定食」2200円

とんかつ会議 ,

東京とんかつ会議 第52回
銀座「梅林」の「銀カツ定食」2200円
<肉2、衣2、油3、キャベツ3、ソース2、御飯2、新香2、味噌汁2、特記なし 18点(各項目3点満点、特記項目含め25点満点)>

 昭和2年創業、ヒレカツの一口カツやとんかつソース、カツサンドを生み出した店とも知られる。昔からのファンが多く、開店前にはいつも、開店を待ちわびる数人の列が出来るほどである。
 客層は年配客が多いが、多岐にわたり、ボクの隣は女子大生の2人組で、仲良く、おいしそうにカツ丼を掻き込んでいた。二人以下で出かけるなら、そんなとんかつ好きのお客さんがずらりと座り並んだ、20人弱のカウンターが楽しい。またカウンターに座ると、肉を取り出し塩胡椒をふる人、揚げる人、カツ丼を作る人、盛りつける人と、職人達がそれぞれの仕事をきびきびと店舗よくこなす姿が見られて、さあ食べるぞと、いっそうとんかつへのファイトが湧いてくる。
 とんかつは三種類。カツライス」千円、「銀カツ定食」2200円、「ロースカツ定食」2800円、カツライスが150g, 銀カツが200g、ロースカツは黒豚で、200gである。銀カツを食べれば、肉はそのままでもほのかにうま味を感じる肉である。脂の溶け具合もいい。高温で揚げられているのにも関わらず、衣は肉に密着してはがれず、譲渡な肉であることがわかる。しかし今の第二期とんかつ黄金時代に入って、次々と見事な銘柄豚が同価格帯で名乗りを上げている状況と照らし合わせると、肉汁やうま味の点で、やや寂しさを感じる点もある。
 衣は中粗で剣立ちもよく、サクサクと揚がっているが、この肉に対しては、やや衣の方が威張っていて、より細かい衣の方が肉を活かせると思った。油は、綿実油ながら香ばしく、油切れもいい。
 キャベツは作り置きだが、細くみずみずしくおいしかった。甘めのソースは、恐らくロースカツなら受け止めると思うが、肉のおいしさを味わうなら、銀カツ以下は、そのままか塩がいいと思われる。
 ご飯、豆腐の味噌汁、沢庵とカブ、胡瓜のきゅうちゃん風新香の盛り合わせともに、充分な質。また、スパゲッティにのケチャップ和えが添えられるのも、昔ならではで、意見の分かれるところだろうが、個人的にはカツの衣を落としてあえて食べるのが好きである。この店は、カツ丼のファンが多く、都内のとんかつ屋でも、これだけ多くの人がカツ丼を掻き込む勇姿が見られるのは、ここだけであろう。