東京とんかつ会議 第121回 臨時会議 白金「つかんと」(コース4000円)
臨時会議ゆえに、点数は無し
とんかつはここまで来た。
松坂ポークを8割加熱し、藁で炙ってから、衣を漬けて高温でサクッと揚げる。
ソースは、ブルドックの贅沢ソースの成分を研究し、玉葱を飴色になるまで炒め、セロリや人参を別で炒めて合わせ、五種類のフルーツや、豚の腕肉でとった出汁を入れて三日間かけて作る。
キャベツは、細切りにした後で冷たい昆布だしに漬け、キャベツのピュレとパセリ油を和える。
さらに天然酵母のパン、ロデブを焼き、ブーダンノワールを塗って「よろしければ、後で挟んで、カツサンドにしてください」と添える。
肉肉しい香りと燻製香を放ちながら、肉は舌の上で踊り、ソースは優美な香りを放ち、キャベツはどこまでも甘い。
カツ丼は、白トリュフとパルミジャーノのリゾットに、玉子と昆布だしのエスプーマをかける。
サイコロ状に切って揚げたとんかつと、ペコロスのピクルスを乗せ、大葉の細切りを乗せる。
ああ、カツ丼がエロくなるなんて誰が想像しただろう。
途中まで食べたらカレーをかける。
子豚の切り落としなどを入れて、数日感熟成させてきたカレーは、スパイス香のの後ろに、上質なエスパニョールソースのような、甘い香りとほろ苦さ野混沌があって、こちらも艶っぽい。
豚汁は、赤出しと白みその合わせで、味噌の甘みに生姜油の酸味が絶妙に効いていて、さらに具はとろりと崩れる豚肉のコンフィである。
いずれもとんかつの要素を含みながら、どこか「とんかつ」とは離れた食後感があるのは、保守的な観念にとらわれすぎているからだろうか?
そんなことを考えさせられる、とんかつの新しい形である。
閉店