突き出しはオマールだった。
オマールの塩茹でである。
中華レンゲに雑作なく入れてある。
そのスペイン料理屋らしくないスタイルに、軽い気持ちで食べて、目を丸くした。
テーブルを囲んだ全員が叫ぶ。
「おいしい!」
オマールの優しい甘みが、塩気と酸味に溶け合い、口の中で膨らんでいく。
どうやって作ったか聞けば、塩茹でして、野菜のドレッシングで和えただけだという。
作り方を聞いた。
「ちょとの玉ねぎとトマト、それに白ワインヴィネガー。あとはおいしいオマールさ」。
「ibai」ドノスティア。