ここで朝食をとる人は、セレブだという。
そりゃあそうである。近所のモーニングだと500円以内でいけるのに、1600円もしちゃうのだものね。
料理も見事にアメリカである。
一緒に焼いているはずなのに、なぜか黄身の火の通し具合の違うサニーサイドアップ。
油をたくさんまとった、ソーセージ。
カリカリに焼いた食感を際立たせたいと、あまり味のしないベーコン。
わざと生生地の風味を残し、膨らみを抑えたネッチョリとした、パンケーキ。
値段は大衆的ではないが、ややまずさに寄ったうまさというか、これこそがアメリカ流下品の風格なのだろう。
この価格と味のアンビバレントこそ、米国食文化の底力なのかもしれない。
僕は、紙ナプキンでソーセージをくるんで油気を取り、ベーコンには胡椒をし、二つの目玉焼きは、黄身をつぶして混ぜ、パンケーキには、メープルシロップをたっぷりかけて、ケーキ自体の味を目立たなくさせ、さらに口のリフレッシュで、少し酸っぱいコーヒーを飲む。
アメリカ人から見れば、軟弱かもしれないが。
八重洲口「バビーズ」にて