蕎麦屋指南。

食べ歩き ,

「まつや」で若者に、蕎麦屋指南をした。
みんな初めて食べる「焼き海苔」や「板わさ」に目を丸くし、そのおいしさに笑う。
「醤油のつけすぎ,かまぼこの一辺につけてわさびと食べろ」。
「海苔には裏表があるのが知ってるか?」
「知りません」。
「裏にわさびを乗せて,くるりと巻くよえにして、表を上にして食べろ」。
おじさんは,いちいちうるさい。
次に登場しは,事前に頼みし、玉子焼きである。
甘辛い江戸の味わいに,一同大喜びして酒を飲む。
蕎麦味噌が出されると,「これはなんですか?」
「これは蕎麦味噌って言ってな、江戸味噌に蕎麦の実と蕎麦出汁を少し混ぜたもんだ」。
「江戸味噌ってなんですか? これ八丁味噌じゃないんですか?」
若者の素直な質問は,気持ちいい。
ひとしきり江戸味噌を説明した後,焼き鳥が現れた。
「そもそも蕎麦屋の肴は、種蕎麦の具材しかないんだよ」。
「そのタネってなんですか?」。
次は,1人を除いて,初めて食べる「ニシン煮」が、登場した。
みんな興味津々である。
ここらで「すいません、天南蛮の抜きをお願いします」。
「抜き?」。
「ああこれ蕎麦入っていない!」
「これを肴にして燗酒をやるんだよ」。
「えっ?汁をつまみにするんですか?」
「あったりまえだ。ほらこうやって」。
実践を皆まねして、おいしいおいしいの笑顔を浮かべる。
「どうだい、うめえだろ。まつやの甘汁で,飲む酒は格別なんだ」。
「ん?甘汁?」と,また疑問。気持ちいいねえ。
最後は僕がもりそばを頼み。江戸っ子のもりそばの食べ方を指南する。
その化学的理由も含めてね。
するってえと、女子までもが忠実にずるずるっとそばをたぐってくれた。
若い蕎麦仲間ができて嬉しい。
あっ,忘れちまった。
なぜ蕎麦は啜るではなく,手繰ると呼ぶかを教えるのを忘れちまった。
まあいい。
季節を変えて、またこようや。