マッシモ・ボットゥーラ

食べ歩き ,

ランチの開始時間は過ぎていた。
表では、支配人が困った顔をしている。
通訳の方が気を利かせて「もうそろそろ」と、催促したが
「いや僕はもっと話したいんだ」と、制して、話をやめない。
世界一予約の取れないレストランとも言われる、「オステリアフランチェスカーナ」のマッシモ・ボットゥーラ氏である。
8年前モデナに行って、食べた時の感想を伝え、味覚についての質問をした後のことだった。
様々な示唆に富む話をしてくれた。
「父は私を弁護士にしたかった。兄たちは、会計士、医者、エンジニアになっているしね。しかし料理の熱が高く、道を選んだが、不安があった。たが若い頃に、世界中のマエストロから、君の味覚はセンスがあり、突出している。だからそれを信じて突き進みなさいと言われました。例えば小野二郎さん。ある日次郎に1人で行った時、いつもより酢飯が酸っぱく感じて、手が止まった。すると二郎さんが気づいて、どうしたの?と聞く。僕は正直に酸っぱい事を伝えました。すると二郎さんは、「それは君が30分早く来たからだよ。だからまだ酢が落ち着いてないんだ」。こうして僕は、フェランやデュカスや、ロブションなど、多くのマエストロから学ばせてもらった」。
終わって料理が始まると、通訳の方がが席まで来られて、話された。
「シェフが喜んでいました。僕はこういう話や意見交換がしたかった。通り一遍のインタビューではなく、今日はようやくプロと話ができて感謝していると伝えてくれと。ありがとうございます」。
そんな、マッシモの話はまた後日。
ニューオータニ大阪にて。