今回は厳しい。完全なアウエーです。
東京でバッテラを探そうにも、店が少ない。
あっても関西からの支店であったりするのです。
そんな中で最も信頼を寄せている一軒があります。
それが、大阪寿司を掲げて、大正13年創業した「八竹」です。
押し寿司も茶巾も、伊達巻も棒寿司も、どれをいただいても、間違いがない。
もちろんバッテラもうまい。
まずなにより素晴らしいのが、酢飯です。
米の甘みが感じられ、酸味は丸く、甘みは後ろに控えている。
その塩梅がいいのです。
そうですね、食べ終わった後に、箸を持つ手が自然と伸びてしまう、ほどよい甘みといったらいいでしょうか。
バッテラは、背と腹、腹と尾という風に組み合わされていて、背は歯切れよくいなせな味わいであり、腹は脂が乗ってはがふわりと包まれる豊かな味わい、尾は味が濃く、噛みしめる喜びがあります。
持ち帰りもいいですが、店内で「お吸い物」を頼んで食べて欲しい。
作り置きは一切しない、作りたてのバッテラと、滋味深い、上品な味わいのお椀をいただきながら静かに過ごす時間には、非日常の贅沢が詰まっています。
2025年3月閉店
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