赤貝

赤貝は血の味がする。

冷えた金属に触れたような、冷徹な刺激と命の源に包まれた温かさが同居する様は、まさに血の風情である。

しかも不思議なことに、そこへ爽やかな風が吹き抜けるのだからたまらない。

その加減は様々で、爽やかな奴もいれば、生命力の強そうな濃い奴もいる。

さらには噛んでいくと、昆布の旨味が滲み出る。

それを感じた瞬間、にやりと笑ってのけぞって、それを見たご主人も嬉しそうに微笑みを返すのだ、

すきやばし次郎