鮎を食べ比べた。
高知と岐阜の川違いである。
1匹目は、全国で水質一位である仁淀川の支流小川川の鮎を食べた。
澄んでいる。
味がきれいで香りも淡い。
仁淀ブルーとも言われる、澄み渡った藍色を泳ぐ姿が見えてくる。
次はその支流である、勝賀瀬川の鮎をいただいた。
こちらの方が甘味がうっすらとあり、身質はしっかりとしている。ただ小川川の方が若干香りはある。
肝も苦くもなく、甘みもなくすっきりとした味わいだった。
次に岐阜長良瀬の上流郡上川の鮎をいただく。
高知より大きいそれは、身がしっとりとして甘み強い。
肝も味が濃く、微かな甘味がある。
次は高知に戻って、強くあまい鏡川の鮎をいただいた。
唯一のダムがあって、透明度は薄れているせいだろうか。
先の高知の2匹より少し濃い味がする。
再び岐阜に戻って、名産地で知られる和良川の鮎をいただいた。
おおっ。こんなに違うのか。
和良川のそれは、最初の一噛みから味があって、神進に従ってぐんぐん伸びていく。
そして肝がうまい。
うま味と甘み、ほのかな苦味が渾然となって、こちらを攻めてくるような味である。
最後は、去年の岐阜鮎食べ比べで一位となった馬瀬川の鮎である。
こちらも和良川同様に味が濃く、香りも高い。
だが和良川の方が、身と肝の両方において若干味わいが濃い。
僕の中では和良川がグランプリである。
食べ方もよりよく味わいの違いを感じるために、まずは尻尾から頭に向かって食べ進んだ。
泉さんによれば、やはり水がきれいだと、味が淡くなるのだそうである。
また高知は天然遡上で、岐阜は琵琶湖の稚魚放流であるが、泉さんの経験では、稚魚放流の方が味が載っているのだという。
鮎6匹、モスそれだけでお腹がいっぱいである。
今年各所であゆをいただいたが、やはり「河原町泉や」にかなうところはない。
唯一面白かったのは、「新ばし星野」でいただいた鮎だった。
新潟村上市の府屋大川の鮎で、同じく尻尾からかじった瞬間、苔のような緑の香りが放たれたのであった。
岐阜「川原町 泉や」にて