「広味坊」  世田谷区砧 閉店

「リゾット風チャーハン」千円

食べ歩き ,

広味坊は女性だらけの店である。いやなにもお客さん全員が女性というわけではない。厨房とサービスが、すべて若き溌剌とした女性なのである。

コンダクトを振るうのは、オーナーシェフである五十嵐美幸さん。彼女の作る料理の魅力は、梨を巻いた酢豚や山芋の香りが広がるスープなど、従来の中国料理の枠にとらわれない、しなやかな感性と大胆な着想による独創的な料理にある。

しかし一方で、焼きと水で粉の配合を変え、皮の食感を引き出した餃子や、自家製麺による麺料理など、身近な料理の軸にも神経が行き届いていて、骨太の料理がいただけるのだ。

昼は麺とご飯料理中心ながら、随所にそんな彼女のセンスが光る料理が登場する。

「リゾット風チャーハン」もその一つで、パラリと炒めたモチ米入りチャーハンを、干しアワビの戻し汁で煮込んだ料理だ。

茶色に艶やかに輝く姿、顔を近づけただけで立ち昇る香りと、運ばれただけで食欲を刺激するチャーハンは、米一粒一粒がアワビの滋味と香りをまとっていて、ため息が出るようなおいしさである。

さらには一粒ごとに独立したモチ米自体の甘さも手伝って、心が和み、顔をほころばせるのである。 このチャーハンに、まぐろのピリ辛ソースや揚げ茄子山椒風味など、数種類の料理を盛り合わせた「前菜盛り合わせ」八百円や、弾力のある皮が魅力の「水餃子」二百円、気の利いた料理を日替りの小皿で出す「付け合せ」百五十円、丁寧な仕事が行き届いた「デザート盛り合わせ」五百円などを組み合わせてミニコースを作り、五十嵐さんの持ち味を存分に楽しむのもおすすめである。

「広味坊」

 世田谷区砧6-39-3

 3416-0004

 11:30~14:15

 17:30~22

 月(火曜不定休あり)

 祖師ヶ谷大蔵駅から徒歩一分

 

写真はイメージ