東京には日本中、世界中の料理がある。
だが当たり前のように京都や大坂にあってもないものもある。
その一つがバッテラである。
バッテラが食べたくなると、僕は「八竹」に行く。
まずなにより、酢飯が美味しい。
米の甘みが感じられ、酢が丸く、甘みがかすかに控えている。
食べ終わった後に、また箸が伸びる甘みである。
背と腹、腹と尾があって、背は歯ごたえが魅力でいなせな味であるのに対し、腹は、脂が乗ってふわりと歯が入っていく。
尾は味が濃く、噛みしめる喜びがある。
そしてすべて作り置きではなく作りたてであるところが、嬉しいのだ。
お吸い物は220円。
椀種は、魚そうめんと穴子、寄せものだった。この吸い物も京らしくてしみじみ美味しい。