鹿児島「山映」

「鯛茶漬け」の本懐。

食べ歩き ,

「私を愛して」。
胡麻ダレをまとい、ご飯の上に乗った鯛がささやきかける。
しばらく眺めていたい。
そう思うほど、鯛の艶やかさが眩しい。
今まで多くの鯛茶漬けを食べた。
だがこんなに色っぽい鯛茶漬けは初めてである。
胡麻ダレがいい。
胡麻の風味も甘みも塩気もしっかりとあるのに、繊細な鯛の甘さを超えていない。
鯛の滋味を、静かに応援しようとする意思がある。
鯛がいい。
普通の鯛茶漬けより分厚く切られ、噛む喜びがあり、鯛の凛々しい一面が胡麻やご飯と出会う醍醐味がある。
数切れは、熱々ご飯の上に乗せて食べ、最後はお茶をかけた。
お茶が優しい。
聞けば強さが出ないようにブレンドしたのだという。
お茶も、胡麻ダレも、ご飯も、誰も主張する事なく、丸くまとまって互いを尊重しようとするまとまりがある。
そしてその中で少しだけ、鯛が威張る。
これが「鯛茶漬け」という料理なのだろう。
鹿児島「山映」にて。