旬の歳時記 時知らず 2012.05.09 食べ歩き , 東京 , 白身魚 , 居酒屋 Tweet 渋谷の「たか」で、「ああっ」と叫んだ。船上で生き締めされた、時知らずの酒蒸しだ。 皮と身の間の、たっぷりとのった脂が、ちゅるんと溶けて、何事もなかったように消えていく。 脂に気品があってどぎまぎと、胸を騒がせる。しなやかな身は、甘みとともにほろりと崩れて、再び「ああっ」。 時を忘れて捕獲された、子に栄養をやる前の鮭の豊かな養分に、頭を垂れる。 時知らず。魚名は、自然への畏敬の念を込めた、敬意なのだ。