旬の歳時記 グリンピース 2012.04.30 食べ歩き , 割烹 , 京都 , 豆 Tweet それは突き出しの小鉢だった。 若緑色のグリンピースが、微かに薄茶を帯びた出汁に浸かっている。 一粒二粒。 食べて言葉を失った。 豆が生きている。 出汁は静かに豆を支え、莢から弾けたばかりの青々しい香りが胸を清め、みずみずしい甘味が優しく舌を包む。 茹でた豆なのにどうして。 この先これ以上のグリンピース料理には出会えないかと思うと、絶望的にすらなった。 かつて京都にあった「南一」での出来事である。