岸田屋の景観。

食べ歩き ,

シーン1
はす向かいは、58ほどの男性と40ほどの女性のカップル。会社の仲間で、何回か来た事のある男性が連れてきたらしい。きんき煮付けや肉豆腐など、女性は料理が運ばれると真っ先に箸をつけ、「うまいっ」と、顔中に幸せな笑顔をつくっている。食べることが大好きなようだ。
酔いが回って、男性がしきりに仕事の話をする。女性は「うんうん」うなずき返しながらうわのそら。料理をバクバク食べては目を細めている。気付かず話しかけ続ける男性。

シーン2
さらにその隣は、中年男性二人組。我々がモノ欲しそうに肉豆腐が二つ運ばれる様を見ていたのに気付き
「これうまいよ。食べた? なに食べてない? ダメだよ食べなきゃ。僕らはいつもここに来ると頼むんだから」。
「いい店だよねぇ。僕らは仙台から二月に一回、この店のために東京に用事作ってんの。どっから? えっ大阪? だったら肉豆腐食べなよ(意味不明)」
「またこの店で会おうね。じゃお先に」。と帰っていった。

シーン3
隣はベースボールキャップにサングラス、リング系をジャラジャラつけた50後半らしき女性。
仙台人が帰った後に話しかけてくる。なんでも週に一回は来ている地元の住人で、かれこれ30年近く通っているのだそうだ。
しゃがれた声は酒焼けか。そんな声で、7月の佃島住吉神社例大祭のことを詳しく話してくれる。
「必ず祭りの時に来なよ。わたしが案内してやっから」と、連れは約束させられていました。

シーン4
向かいは、隣のおばさんによれば、毎日来ているという70くらいのおじさん。一人、泰然自若として苦虫を噛み潰したような顔で呑んでいる。
やがて店の人に合図すると、中から女将が出てきて、
「今日は軽く焼いとく?」と聞く。
なんのことか思っていれば、やがて彼の前にはご飯と焼いた明太子が運ばれた。いずれも品書きには無い。
それをうまそうにかっ込むかっこむ。
一気呵成に食べ終えて、初めてにこり。
勘定も聞かずにお金を置いて。
「ごちそうさん」と、手を上げて帰っていった。

さあ今日は朝一で大阪だぁ。