噛め。
そのスパゲットーニはそう言ってくる。
もはやアルデンテという言葉がやわに思えるほど硬い。
しかし中に芯があるわけではない。
麺に根性があって、噛もうとするとギシっと音が立つかのような抵抗がある。
奥歯に力を入れて、何回も噛んでいると、粉の風味が膨らんでくる。
それは、立ち上がって、「おれはパスタを食べているぞお!」と、叫び出したいほど、勇猛なのである。
サルサはこれ以上でも以下でもない濃度で、太いスパゲットーニ一本一本に乗って、味を高める。
濃縮したトマトのうま味が、ぐいぐいと押し寄せてくるのだが、しつこくない。
さらりとして、食べ終わった後から、また食べたくなる。
これこそが、正真正銘のシチリア式、スパゲットーニ・サルサポモドーロである。
青山ドンチッチョ
もはやアルデンテという言葉がやわに思えるほど硬い。
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