「ちらし寿司を頼んだのに、魚が入ってないじゃないか」と、嘆いてはいけない。
錦糸卵の下には、ハマチ、マグロ赤身、ヒラメ、タコ、穴子、イカといった具が、所狭しと酢飯の上に乗って、隠れているのである。
白身魚とマグロは醤油をくぐらせてあるから、そのままワシワシといける。
錦糸卵を一旦どけて魚たちを確認したら、また錦糸卵を元の状態に戻す。
そしてくるりと重を回し、手前から箸を突っ込んで、口に運ぶ。
また少し重を回し、下地の出ていない部分に箸を突っ込む。
これを繰り返していく。
「おっ、これはヒラメだ、今度は穴子だ、次はイカがきた」といった具合にして、一種の宝探し状態で楽しむのがいい。
1939年創業、83年も経つ、京都では新参者の「すし善」にて。