馬肉天国である。
馬ロース、ヒレ、刺身用ロースとヒレ、こうね、馬ホルモン、馬内蔵、馬筋、馬中肉、馬切り出しに馬ハンバーグ。
「尾形精肉店」のガラスケースは、馬肉だらけである。
鶏肉や豚肉もあるが、肩身が狭そうに隅っこにいる。
ここはかつて軍馬として名を馳せた、南部馬の生産地であった。
軍馬の需要が減り、馬を食べ始めるようになったという。
純血種の南部馬は絶滅したというが、食べ過ぎちゃったのかな。
そんな青森馬食文化を代表するのが、五戸の「尾形精肉店」であり、レストランも併設されている。
名物は「義経鍋」である。
ジンギスカンではない。義経鍋である。
同じ兜の形をしているが、周囲が焼けるようになっていて、中央に小鍋が併設された、変わった形なのであった。
小鍋で野菜や豆腐を炊き、周囲で肉を焼くというのが作法らしい。
さらに優れているのが、外に向かって傾斜がついている焼肉部所で、ちいさな脂だまりが併設されている。
つまりここに馬の脂が次第に溜まっていくわけですね。
これは素晴らしい。
ここに生肉をどぶんとつけてから焼く、ネギを突っ込んでコンフィにするといった遊びができるのであった。
それでは義経鍋牧元流お作法をお伝えしたい。
1) まず馬脂を敷いて、しらたきを焼き、水分を抜いて歯ざわりをよくする
2) その間に、ロース刺し、ハツ刺し、こうね刺しを味噌ダレで食べる
3) しらたきが仕上がったらネギを焼く、ネギの上にも馬脂をおき、よくよく染み込ませる
4) いよいよ馬肉。一旦溜まった脂につけてから焼くといい。片面に焦げ色がつくくらい焼いて、もう片面は軽く焼く。
5) たまにはコンフィもいい。馬肉とネギ。
6) ピーマンは焼いたほうがいい。塩ふって皮面だけを焼く。
7) 終盤はタレ焼きがオススメ。タレにつけてから焼くと大至急ご飯。
以上である。
とにかくこの鍋というか馬焼肉、止まらないのである。