近年食べたリードヴォの中で、秀逸だった。
食べながら「ああリードヴォのうまさってこれだよな」とうなづき、笑った。
村島シェフによると、フレッシュなリードヴォがあるときにしか作らないということである。
薄らと色付くようにフライパンでソテした後にオーブンに入れ、最後に色付くようにリソレしフリカッセにしたのだという。
なにより食感がいい。
クリっと弾むようでもあり、ふんわり歯を包み込むような感覚もあるリードヴォには、まだ命の滴が残っている。
その中に拙い甘みがあって、妖艶な香りも潜んでいる。
甘みはクリームのコクと結びつき、香りはモリーユの香りと響きあって、コーフンを呼ぶ。
それは何かいけないようなものを食べているようなコーフンでもあり、それこそがフランス料理のエスプリなのだ。
八丁堀「シックアプテートル」、