リストランテの妖艶が開く瞬間

食べ歩き ,

かすかに入れられたレモンピールの酸味が、リゾットに光を当てていた。
カーチョ・エ・ペペのリゾットである。
適切な温度で溶かしたペコリーノ・ロマーノの滑らかなうま味と塩気が米の甘みと抱き合って、豊かな味わいを生み出し、それを胡椒が引き締める。
この満ち潮と引き潮の関係だけでも笑い出したくなるが、そこへ少量のウニクリームをのせてきた。
リストランテの妖艶が開く瞬間である。
しかしそこにわずかな酸味があって、舌を鼻腔を突く。
深みに向かおうとする味わいに光が差し、軽やかさをまとって、エレガントとなる。
すかさず白ワインを飲んで、連れと微笑み合う。
「アルマーニレストラン」ナポリ出身、カルミネシェフのすべての料理は、別コラムを参照してください