身体の中を様々な動物が駆け抜けて行く。
キジバト、マガモ、鹿、熊、猪。
クジャクにヤマウズラ、そしてライチョウ。
怒涛のジビエ8皿、横四方固めである。
生命が体の中を流れ、雄叫びを上げる。
身体に眠りし野生が焚き付けられ、鼻息が荒くなる。
中でも1ヶ月フェザンタージュさせたという孔雀のスープは、チーズのような芳香を放って、夜の彼方まで深い。
舌をベアハグして有無をいわせない、濃密な時間を与えて、余韻が永遠に続く。
人間としての野生が残っているのか、試されているかのような味わいである。
猪ベーコン、ペルドローもうまかったなあ。
渋谷「ラチュレ」にて。
堂々たる8皿はこちら
鹿のサラミと杏を入れ込んだチーズと松の実のケークサレ
サブレ生地に挟んだキジバトのリエット イチジクのジャム
青首鴨のバロティーヌ。 鉄分の味わいが口いっぱいに広がる
沖縄産孔雀のコンソメ キノコと孔雀のササミ 一筋縄ではいかないしぶとい味わい。余韻だけで元気になるような濃密さ
猪ベーコンのサラダ。マッシュルーム、葉類、ナッツ、コンテ、柿。脂がなんとも美味い。ナッツ香が漂って、いつまでも噛んでいたい
ペルドロー、アサリのスープ 白菜、銀杏、原木なめこ、パセリバター、パセリオイル。山と海の出逢い。淡さの中に鉄分の滋味を忍ばせるヤマウズラのしたたかさを、あさりが引き出す
パテショー。鹿、猪、クマ、フォアグラ、トリュフのパイ包み焼き。、林デラソース。これでもかと血の養分が攻めて来る。ムッとする様な、生命に食らいつくダイナミズム。
雷鳥のロティ。アワビの肝いりサルミソース。 松ヤニを食べるせいで苦みのある雷鳥にアワビの肝の苦みを合わせた皿
カボスのデセール。かぼすのコンフィチュール、ジュレ、コンポートなどをバニラスフレとともにwhite chocolateに包んだデザート、美人パテシエ作。
カボスの酸味とパテシエの美人度が、散々ジビエでの雄壮に焚き付けられてきた心を癒やす。
シュトレーン