この葱は手切りですか?」
「はい。彼が切ってます」。
店主が一瞬にして嬉しい顔になられた。
虎ノ門ヒルズの地下にある「てんせんめん」は、新たな担々麺の店である。
どこにもうたっていないが、バリの三つ星フレンチで働いている日本人シェフが開発したという。
こつてりとあっさりは、それぞれスープを別にとり、ザージヤンの味付けも違う。
毎日スープをとり、毎日スープをとる。
食べて思ってたのは、バランスの美しさである。
スープ、麺、肉味噌、そのほかの具がそれぞれとんがることなく、すうっと丸く収まっている。
影の役者は、葱である。
細く細く、正確に白髪ネギにされたそれは、細麺よりやや細く、シャキシャキと軽快に弾みながらも、麺の邪魔をしない。
食べ方としては、まずスープを飲み、麺をすすり、そこに沈んだ肉味噌をすくい上げてから混ぜて食べる。
これが標準であるが、別の食べ方もいい。
1.まず香菜を追加する。
2.穴あきレンゲで肉味噌を拾い、レンゲに乗せ、ネギと香菜をのせる。
3.その上に麺を乗せ、スープに沈めてスープを入れパクリと食べる。
つまり麺をすすらないのだが、これが実にいい。この上品な担々麺に合う。
4.さらにこのぎやく。つまりレンゲに麺を乗せ、その上に肉味噌、香菜、ネギを乗せてパクリ。
ううむこりゃあうまい。
閉店