笹塚・福寿
1954年創業。庶民的な住宅街に佇む木造の一軒家。
白地に赤の雷紋で縁取った白暖簾に中華そばの一文字。
ガラス戸、パイプ椅子、三和土、傾いたカウンター、いまだ漂う昭和初期の香り。
「ラーメン」五百円を頼むと、ご主人が大鍋で麺を茹で始め、こまめに指先で加減を確かめながら一分。
麺はスープと合わされ、青い雷紋で縁取られた丼で登場する
かけそばのような醤油色の濃いスープは、こっくりと醤油味がききながら甘みを感じさせる優しい味わい。
そこにからむは、しこしこと弾むコシの強い縮れ中細麺。
具はチャーシュー、しなちくに葱。「しみ滋味」とでも呼びたいような味わいは、半世紀にわたり、平凡を守り、点検を怠らなかった誠実が詰まっている。