池尻「リアン」

食べ歩き ,

池尻の住宅街に今年開店した、フレンチレストラン。店は、カジュアルな雰囲気で、常においしい賑わいに満ちている。奥が厨房に向き合うカウンター席、手前がテーブル席で、計18席。シェフ上原浩一さんは、西荻窪「サン・ル・スー」、パリ「エレーヌ・ダローズ」などで修行した経験を持つ。

料理はプリフィクススタイル中心。アミューズ、前菜、魚か肉料理の、デザートの3900円、それに前菜1品か魚料理がつく4200円、アミューズ2品、前菜2品魚、肉料理という構成の4700円。

アラカルトも選べ、選択肢も、前菜17品 肉料理12品、デザート12品と多く、楽しい。これらを少ないスタッフで迅速に作り上げるのが素晴らしい。

生ハムムースのダックワーズ生地のサンド、野菜のテリーヌなど、ユーモアセンスの効いたアミューズが出された後に、前菜。

例えば「青森県むつ湾直送真イカ イベリコチョリソー ドライトマトのアクセント」は、イカの甘みにチョリソーの辛みと香りが加わって、実に楽しい。また「香川県高松漁港直送の鱧の炙り 茸パセリバターソース」は、鱧の質がすこぶる良く、その甘みにパセリバターソースのコクが合う。

ある日の魚料理は、「タイのカダイフ焼き」

カダイフ焼きはそのパリッとした食感を衣として利用する場合が多いが、この偽は焦げ目がつくまで焼いてあり、それが逆に衣の芳ばしさを生んで、フライのように胸を弾ませる。また中にはさまれたジャガイモも、鯛の甘みとなじんでいた。

肉料理も堂々たるもの。「丹波産小鹿のロースト」は、夏鹿ならではの繊細な滋味が出て、噛みしめるうまみがある。

デセールの一つ「白桃のタルト」も、しっかりと焼きこまれ、生地の芳ばしさの中で白桃の優しい甘みが浮き出ている。

近所にこういう店があったら、と思わせる店である。