「とんかつ食べにいかない?」とデートに誘ってはいけない。という常識が揺らいでいる。
先日「成蔵」で驚いた。女子6人組が全員とんかつを食べている。昼から女子一人で、千五百円の定食を食べている猛者もいる。
店内がとんかつ屋らしからぬ、モダン内装といのもあろう。しかし理由はそれだけではない。
昔と違い、フレンチやイタリアンでも、堂々と主菜に豚が選ばれる時代だ。銘柄豚が増え、豚肉の質が格段に向上し、油やパン粉も吟味され、新たなとんかつ黄金期に入ったのである。
低温から熱を上げて、じっくりと揚げられる、「成蔵」の「特ロースカツ」を食べてみよう。
肉の断面はロゼ色で、艶っぽい。油を感じさせない衣が、カリッと音を立て、きめ細かい肉質に歯が入っていく。途端に甘い肉汁がこぼれ、なんとも幸せな気分となる。引き締まった脂は、さらりと舌から消えていく、キレよさ。これぞ現代のネオとんかつだ。
六本木「イマカツ」、お茶の水「ポンチ軒」、などネオとんかつに出会える店は、増えた。