暑い日が続くと、つい冷たい料理をと考えがちだが、暑い国の料理を食べるのもいい処方箋になる。
たとえば年中熱帯性気候に包まれているシンガポールの庶民食、海南鶏飯はいかがだろう。
中国南東部の海南島から伝わったとされる家庭料理で、鶏スープで炊いたジャスミンライス(最高級品とされる長粒米。籾の色がジャスミンの花のように白い)に、鶏スープで茹でた鶏胸肉を載せたご飯料理である。
添えられるのは、口休めのきゅうりとトマト、それに甘い醤油、チリ、生姜の三種ソースだ。
鳥をスプーンで切り、好みのソースをかけてご飯とともに食べるのが流儀であるが、僕はまずソースをかけずに一口食べる。
鳥の穏やかな滋味とジャスミンライスならではの香りと甘みが手をつないだ淡い味わいを、ゆっくり咀嚼しながら気分を落ち着かせ、外気の暑さを忘れようという算段である。
次に生姜ソース、チリソース、醤油ソースの順にかけていき、味のアクセントを楽しむ。
ソースを混ぜてもよい。
そして時折かたわらの鶏スープを飲んでは初心に戻りなどと楽しんでいると、瞬く間に食べ終えてしまう。
後味がきれいなので気分は爽快。
かつ滋養もあり、最適の盛夏食である。テラス席もあるので、わざと強い日ざしに照らされながら食べるのも一興だ。
欲をいわしていただければ、以前シンガポール大使館員の強い要望で月曜日のみ出していた、鶏もも肉バージョンの復活を望む。
海南鶏飯 小\750 大\900
海南鶏飯食堂 港区六本木6-11-16 中銀マンション
11:30~14 土日祝~15 18~23 3月曜日休み
5474-3200