もう四時間も空港にいた。
出張帰り。
早く千歳空港に着いたのと、出発が一時間も遅れたためだ。
本を読むのも飽きたので、弁当でも食うか。
散々悩んだ挙句、選んだのはこの二つ。
どっちを先にするかまたまた悩む<
やはり味の濃い方を後にすべしと、蟹ご飯
を手に取った。
塩蒸しウニがびっしり、ご飯が進む。
添付のタレはかけぬほうがいい。
煮帆立も柔らかく甘辛く、茎若布でもご飯が進む。
全部食べたくなるのをぐっと我慢して、豚丼に移る。
蓋を開けた瞬間、しまったと思った。
肉が薄く、それに比してタレの量がやたら多い。
サンプルと違うやんけ。
これは 「何事も素直に信じてはいけない」。
そういう教訓である。
仲良くくっついている肉をはがし,口に入れる。
肉の味がしない。
少なくともボクの未熟な舌では、豚の味も香りも感じない。
この枯葉のような一片一片が、かつて豚肉であったことを想定できぬ限り、食べ進めない。
すなわちこれは、
「われわれの想像力を鍛える弁当「。
なのだ。
さらにタレ。
オリジナルタレが絶妙!!というコピーだが。
その絶妙な甘ったるさが<、食べた後に舌や喉にいつまでも残る。
糖度が高いわけではない。
甘みが人工的なのだ。
なるほど。人工的な甘みに我々の舌をさらし
「世に溢れる人工的調味料への耐性をつけよう」、としてくれている。
以上三つの御利益を900円で教えてくれる。
ありがたい。
ありがたいが、ボクにはありがたすぎるすぎるので、3/1ほど食べて後は辞退した。
食べ終わった後も、ありがたい甘みが口腔の粘膜に張り付いていて、売店で買った焼酎を飲んでも消えていかない。
よし甘味には甘味だとプリンを買うことにした。
4種のうたい文句
を検討したが、玉子の質を強調しているものがなく、一番値段の高いものを選ぶ。
奇跡である。
ナムコナンジャタウンで<2位に選ばれている品である。
「黒い粒はバニラビーンズです」と書かれていたが、
ボクの視力では見つからない。
玉子と牛乳、バニラ、キャラメル、生クリームを混ぜただけのものを、 いつから世の中は、「プリン」、と呼んでよくなったのだろう。
プリンは焼き菓子ではなかったのか。
「なめらか」と「手抜き」は同義語なのか。
これまた甘味が残る潤滑な食べ物を食べながら、
420円という価格の正当性<考えさせられた。
うーん。
千歳空港の食品は示唆に富んでいるなあ。