東京とんかつ会議第172回 池袋「銘柄とんかつ梟」「あじ豚上ロース」2600円
肉3油3 衣3 キャベツ2 お新香1 ソース3 味噌汁2 ごはん2 特記ヒレカツ計20点
北池袋のはずれに店はある。全14席の小体な店を、ご主人とサービスの女性の2人でやられている。ご主人は、全国の名だたるとんかつ屋を食べ歩き、好きが高じて店を出すことになったそうで、その経緯が、品書きに書かれていた。
豚肉は、このあじ豚の他に、霜降高原豚(上ロース160g2200円)、岩中豚(上ロース160g2400円)も選べる。
低温で揚げているのだろう。厨房からは音は聞こえず、しばらく経ってから、油の爆ぜる音が小さく聞こえてきた。
背脂を掃除されたあじ豚のロースカツの断面が美しい。均一にロゼ色となって、しっとりと濡れている。噛めば、肉質きめ細かく、優しい甘みがにじみでた。
柔らかいが、筋肉がしまって余分な水分がないので、噛む喜びもある。白い色の衣は、長らく揚げられてきたのにも関わらず油切れがよく、サクッとしている。ほんのりと甘い香りの余韻が残る、ラード香もいい。
ソースは、甘みの品がよく、サラリとし、かつご飯喚起力がある。2とした固めに炊かれたご飯はさらなる質の向上を望みたい。キャベツも切り方がやや雑なために2とした。
ごま油で和えた大根や人参などの中国風お新香が添えられるが、浅漬けや糠漬けなどあっさりとした味わいのお新香の方が、とんかつの味を一旦切って、さらにトンカツを生かすのではないだろうか。とんかつが素晴らしいだけに、筑前煮の小鉢はいらないので、お新香の改良と味噌汁の質を向上させれば、より魅力的な定食になるだろう。
岩中豚のヒレカツは、揚げ具合、肉質共にトップレベル。店名の梟は、地元の方に愛されたいとの願いを込めて、イケブクロのフクロを重ねたのだという。