3回目の「Levo」

食べ歩き ,

3回目のの「Levo」である。

来るたびに驚かされる。

進化などという陳腐な言葉は使いたくない。

その喜びを伴った驚きは、谷口シェフが自信を得ながら、驕らずに、自然や食材への理解と愛を深め、さらに地元の生産者や工芸品の職人、仲介業者、他の料理人たちと切磋琢磨を繰り返してきた結実だろう。
東京のレストランを意識せず、自分たちの足元を、日々確認し、見つめ直すことを怠らなかった、賜物だろう。

アミューズの5皿
ヤギのチーズのグージェール。香草を効かせた甘海老せんべい。鯖のリエットを詰めた、ゴマ風味の最中。雛鳥のムースを挟んだ赤ビーツのマカロン。山椒をまぶしたゲンゲの素揚げ。海藻の塩まぶした、コシアブラのベニエ。
どれも丁寧な仕事が食材を生かしている。特にベニエは、繊細なうまさを持つコシアブラは天ぷらよりベニエが生きると思った逸品だった。

2新湊の神経じめキャビアと軽く茶葉で燻製にしたキャビア。
なんとイワシを、神経じめである、イワシは微かにシコッと弾んだ後、ムースのように溶けていく。生命の危うさがあって、いけないものを食べてしまったコーフンがある。そこに燻香を纏ったキャビアの塩気がからんで、イワシの余韻を甘くする。

3ツキノワグマ
熊の出汁にさっとくぐらせた熊の脂身の多い部分と熊の煮こごり。さらにウニとギボウシ、わさび菜、芹。
熊の脂が、歯と歯の間で悶え、甘い香りを放ちながら、すうっと消えていく。
遅れてウニが溶ける。山菜が香りを放つ。
ウニと牛肉は合わない。そう長い間思い続けていたが、この熊料理は違う。見事にウニの優しいうまみと手を結ぶ。やはり海と山はつながっている。

4能登トラフクグの白子焼き、アザミと10年寝かせたます泉の吟醸の酒粕のスープ
白子の濃密、酒粕のねれた旨味、アザミの緑の香り。白子の魅力に頼りすぎていない見事さ。うまい。

5四方のホタルイカの熾火焼き。
今まで食べたホタルイカ料理の中で、最もエロい。つまり命の息吹ある。日の入れ加減が精妙で、生でもない、加熱されたものでもない。生のなめかしさと加熱して生まれる旨味と香りの両方が共存した、危険な味わい。
上には花山椒(量が見事)、ナスタチウム、貝類の出汁にイカの黒作りソース(そりゃあうまいでしょ)

6Virgin egg
鶏が初めて産んだ卵のポーチドエッグと小松菜とナバナ。鳥のフォンとシェーブルのスープ。
卵のいたいけで切ない甘さ、そこにチーズのコクが静かに出たスープが混じる。いけません。

7Levo鶏
このLevo(雅楽倶)の対岸で農業をされている、「土遊人」が育てられている鶏。4ヶ月で出荷させるが、太らせるような餌は与えていないので、肉は締り滋養がある。

モモ肉に内臓や胸肉、酒米を詰め、どぶろく塗って一夜干しにし、ロティしたものだという。肉肉しく、鶏のすべてがここにある。食べているうちに自分自身が鶏になっていく。ソースはマスタードベース。

8腹にハーブを入れて焼いたのどぐろ。
のどぐろ特有の脂のだらしなさがない。トロッとした脂が甘く、品があって華麗。アマドコロと山芹添え

9熊の包み焼き 別コラムを参照してください

10Y&coの乳飲み子山羊キャレとロニョン、スペアリブ。
キャレはロティ、ロニョンは、内臓の周りについている脂を叩いてから貼り付けて焼き、スペアリブは煮込み。
クレソン、行者ニンニク、山ウド、ニラ、たらの芽、コゴミ
キャレの躍動する食感、食いちぎるよろこびに、拙いあまみ、コーフンする。
スペアリブは脂がトロリと溶ける。
そしてロニョン。微かにロニョン特有の匂いはあるが、臭くない。クニュリとした食感の中にほのかに乳の香り。

10 苺
チップにした苺、フレッシュ、つけ込んだ苺、トマト苺のガスパチョ、苺のマリネ、飛騨のモッツアレラのエスプーマ

11様々なグラニースミス、アロエ。