トルコ料理は、中国料理、フランス料理と並んで、世界三大美食料理と言われてきた。いまでは異論を唱える人もいるかもしれない。
宮廷料理を中心として発展し、贅沢に食材を駆使し、膨大な時間をかけて絶対的な料理を作り上げてきた、中国とフランスに比べ、トルコは、宮廷料理はあるものの、質素であり、家庭的である。
しかしトルコ料理の魅力は、長い間貿易ルートの中間地点であったために生まれた、東西の食文化を融合させた多彩な素材、味、調理法を持つことである。
いくつか例を挙げてみよう
①中央アジア食文化である、羊肉が肉料理の中心。
②エジプトからイタリアフランスに伝播した食文化である、豆料理が多い。
③冷菜にはオリーブオイルを使用する(温菜にはバター)
④チーズはギリシャの影響を受けている
⑤ヨーグルトナッツ類を料理に使う
⑥トマト、ナス、ピーマン等新大陸から渡ってきた野菜をよく使う
⑦アラブ周辺から広まった小麦粉文化とアジアの主食である米を使う
⑧唐辛子を使う料理がある
といった具合である。三大料理とされたのは、その複雑かつ多様性のあるエキゾチックに魅了されたのだろう。
現在都内には40軒近いトルコ料理屋がある。あの街角のケバブ屋を除いての数である。しかしその中で一番古い店は中野にある。「カルタゴ」トルコ中東料理を掲げて24年前に開店した店である。
ご主人はトルコに旅行中、すっかり料理にはまって帰国し、料理屋をやるつもりもなかったのに始めたという。近隣のトルコ人に多く助けられて、料理を完成させていった。まだ都内にトルコ料理などなかった時代である。
メゼと呼ばれる前菜は、豆の優しさが出た、ヒヨコマメのディップの「ホムス」や、焼いた茄子をクリーム状にしたディップ、焼き茄子の香りが後を引く「ババ・ガヌージ」、辛味が効いた「エズメ・サラダ」、中から溶けたチーズが流れ出る、細い春巻きの「シガラ・ボレイ」などを、マルク平たい、焼きたてのパン「エクメク」と共に食べる。
またチーズ類も豊かな国なので、前菜にもらって食べるのもいいだろう。
温かい前菜では、ヒヨコ豆やそら豆のコロッケ ファラフェルをぜひ。
クミンが効いていて食欲をくすぐられる。また、茄子の甘みと羊肉のたくましさがよく合う、羊挽肉と茄子のムサカも食べたい。
そしてメインは、羊肉の串焼き「シシ・ケバブ」、羊挽肉団子の串焼き「シシ・キョフテ」、羊のソーセージ「メルゲーズ」でクスクス仕立てにしてもらうのはどうだろう。
肉は、肉汁と香りに富み、それに人参と蕪と炊きこんだクスクス(小麦粉から作る粒状の粉食)を合わて、トマトソースをかけて食べる。辛いのが好きな方は、ハリサペーストを混ぜ込んでもいい。
ワインも中近東で合わせたい。白ならチュニジアの甘い香り漂うミュスカか、トルコの爽やかな飲み口のヴィラドルジャ、赤なら果熟感に富んだレバノンのクサラがいいだろう。
カルタゴ
http://tabelog.com/tokyo/A1319/A131902/13001081/
トルコ宮廷料理の店 モダンな空間でシックにデザインされた料理がいただける。
麻布十番 ブルガズアダ
http://burgazada.jp/azabujuban.html
トマトの中に米と松の実を詰めて焼き、再び冷やした冷製のオードブル、ドマテス・ドルマや、ケバブやパン類がおいしい
阿佐ヶ谷イズミル