ジビーフの焼売である。
沙茶醤が載っている。
その可愛いやつを口に運び、一口で食べた.
ゆっくりと慎重に噛めば、スネ肉のコラーゲンが淡い甘味となって流れ出す。
優しさに目を細め、沙茶醤のうまみのアクセントに笑っているうちに、焼売は小さくなり、喉へと向かおうとする。
その刹那である.
口の中にそよ風が吹いた。
たなびく草の香りを運ぶ、風が吹いた。
誰が今まで、草の香りがする牛肉の焼売を食べたことがあるのだろう。
大草原にて、好きなだけ草を食むジビーフは、
焼売になってもなお、自らのありようを心に響かせるのだった。
「茶禅華」にて。