東京とんかつ会議 第184回 赤坂「とんかつ古今」。TOKYOXロース 1980円 定食500円

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東京とんかつ会議 第184回 赤坂「とんかつ古今」。TOKYOXロース 1980円 定食500円
肉3油3衣3 キャベツ2お新香2ソース3味噌汁3 ごはん3特記なし計22点
「柔らかい~」。
テレビでレポーターたちが肉を食べた時の褒め言葉として、よく発せられる言葉である。
果たして柔らかいは、肉への褒め言葉なのだろうか。
この店でTOKYO✖️のロースカツを頼む。断面を上にして現れたカツは、中心がうっすらと桃色に染まって、ほんのりと濡れている。
一切れを、何もかけずに食べようと口を開けると、甘い香りが流れてきた。
ラードの香りである。
豚の脂で揚げてこそ、とんかつは高みに登る。
たまらず噛めば、きめ細かい肉に歯が食い込んでいく。
レポーターの感覚からすれば、柔らかくはないだろう。
しかし固いわけではない。肉が肉としての健やかさを示す歯応えがある。
ギシッと音が立つかのようなその歯応えは、噛む喜びであり、これがあってこそ、とんかつを食べているぞおという実感が湧いてくる。
背脂は掃除されてから揚げられているが、細く残った脂はするりと甘く、溶けていく。
肉自体に優しい甘みがあり、ナッツのよう香りも漂う。
薄めの色合いに仕上がった細かい衣は、ぴったりと肉に密着して、サクサクと痛快な音を立てながら、豚肉を盛り立てる。
カツの断面をすべて上に向けて置く方式は、大阪の「マンジェ」同様の方式で、肉がやや冷めやすい欠点があるが、通常の置き方だと下になった衣がしけるが、この置き方は、とんかつの魅力である衣がいつも軽やかで美味しい。
仕事を見ていると、このTOKYOXは、他のブランド豚よりじっくり時間をかけて揚げられ、一分強ほど休ませていた。
トリュフ塩が添えられるが、余計な香りのない方が、このピュアな豚は生きるように思う。ゆえにそのままいただくか、塩がいい。
またこの置き方で塩を振ると、断面に振ることになる。
数秒おけば塩が肉に浸透し、衣にふるより程よい塩気が肉と合体する。
ソースはどろりとしているがくどくはなく、甘味と酸味のバランスにとれていて、ほのかに漂う果物の甘さが心憎い。
ご飯もあさりの味噌汁も上等。キャベツはもう少し甘みが欲しいところ。お新香は、白菜の浅漬けに鰹節。
TOKYOXのヒレもいただいたが、ロースの方が遥かに力を発揮していた。
とんかつ会議上、「天元」以来、久々のヒットである。