「モリエール」にいって、まず感心するのは、サービスである。
笑顔に嘘がない。
丁寧で格式を感じさせるサービスだが、ユーモアも忍ばせて、場を和やかにする。
これもオーナー中道さんの、「フランス料理店」はかくあるべしという信念が貫かれ、スタッフが心から賛同して、同じ目標を目指しているからだろう。
我々はフランス料理店においしいものを求めにいくだけでない。
非日常を享受する愉しみがあるからこそ、出かけるのである。
すべてにおいて食べる喜びと優美が満ちているからこそ、出かけるのである。
家族をねぎらい、食いしん坊の先輩と心を解放しに出かけ、そしてなによりも女性を口説きにいくのである。
そんなフランス料理店としての”粋“がこの店にはある。
ブールブランを携えたボタンエビのソテは、命の雫がしたたり落ちながら、切ない色気を灯し、毛ガニのリゾットは、丸い旨味を膨らまし、鹿のハツは緑香るソースと出会って、森へと誘う。
心から、心から思う。
いい店だなあと。
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