灰色の味 2020.12.29 東京 , フランス料理 , 鴨ほか鳥類 , ジビエ Tweet 灰色の味がする。 この鶏を食べると、いつも思う。 たぎるような血の味と燃えさかる筋肉の味が、ぐっと歯に食い込むと、奥底から灰色がゆっくりと顔を出す。 それは野生の証であり、旺盛に餌をついばんできた命の証でもある。 だから灰色を感じた瞬間に、鼻から息が「ふんっ」と出る。 コーフンが体を駆け巡る。 そこへサルミソースが加わっって、夜を怪しくする。 これこそがフランス料理の官能である。 「シェ・イノ」 「ペルドローグリ サルミソース」。