ついにラーメンである。
わがままおじさんの要求はとどまることを知らない。
しかしシェフは、予想をはるかに上回る素晴らしいラーメンを作ってくれた。
加水率を高めたパスタ生地で、作る寸前にタヤリンを製麺する。
生ハムの出汁と醤油ダレを一晩寝かせ、豚と鳥の骨と肉の出汁を抽出し、愛農ポークのラルドと鶏油を加えてスープを作る。
そこにメイプルシロップケベックの濃いやつを少量入れる。
スープを一口飲めば、ため息漏れる。
丸い優しさの中から深い滋味が湧き出て、体中に行き渡る。
もう二口も飲めば、唇がコラーゲンでペタペタ。
煮干しは入っていないのに、似た香りがするのは生ハムのせいか?
ああ、幸せ体に満ちる。
こう考えてみると、ラーメンとは偉大な料理だなあ。
わがままおじさんは心底そう思うのでした。
都内某イタリアンにて。