東京とんかつ会議47 東銀座「にし邑」 上ロースかつ膳1400円
【肉2衣2油3キャベツ2ソース2御飯3味噌汁3お新香1特記なし計18点】各項目3点満点特記1点総計25点満点
人気のとんかつ屋である。昼時は列ができるほど次から次へとお客さんが押し寄せる。その大勢のお客さんを、女将さんだろうか、「はいロース、はいヒレ、お待たせいたしましロースです。はいぃ~。はいぃ~」と、合いの手のような声を出しながら、注文を捌き、料理を運ぶ明るい声が店内に響いて、店は活気づき、おいしい賑わいにあふれている。夜は肴を用意した居酒屋に変身するようで、その常連客も昼に来て挨拶をしている光景も微笑ましい。
とにかく安い。肉は最上質ではないが、きめ細かく、噛む喜びがあって、この分厚さが定食で1400円なら、近隣のとんかつ好きは幸せだろう。揚げる音があまり聞こえないが、高温で揚げられているようで、油切れもいい。衣は中粗でややはがれ気味となっている。またこれだけ混雑しているので致し方ないと思うが、揚げたてをすぐ皿に盛るため、下側の衣が蒸れてしまっている。
上ロースのみ塩でどうぞと、岩塩入ミルが用意されるので、最初は塩で。ソースは二種類。甘口は味が濃いので、ソースをかけるならウースターソースに甘口を少しだけかけた方がカツが生きるだろう。味噌汁は豚汁で、もうこれだけでもご飯が食べられほど、根菜がたっぷりと入っている。
そして素晴らしいのがご飯。おひつからよそられるご飯は、ピカリと輝き、香り高い。これだけ忙しく、大勢の客を相手にしているのに、この質の高いご飯を安定供給しているのは、見事である。それに比してお新香は、沢庵のみで味も濃く、おいしいご飯が、寂しい思いをしている。