恵比寿「くろいわ」

食べ歩き ,

恵比寿「くろいわ」勝手に救済。救済必要なしの人気店だが。
水無月豆腐に始まり、鱧を所望したので、「焼き鱧と揚げユリ根梅肉和え」。カリッと素揚げした百合根のほくほくとの、食感の対比がおもしろい。鶯。
あじさいを模したという八寸。加賀太胡瓜の器に、焼きすずき、芋タコ南京、はす。若とうもろこしに梅煮。穴子寿司。初亀。ストレートに季節を表現。
お椀「鮑と焼き茄子椀」。初夏の椀をわきまえた、やや淡い味付けがいい。鮑と茄子という出会いものもおいしさ十分。茄子にもう少し香りあればベスト。長野翠露。
鱧、めじ、いかのお造り。三重八兵衛。
焼きは太刀魚、万願寺そえ。ほのかな品のある太刀魚の甘みに目を細める。
冬瓜と海老の冷し椀。ここで五合目おかわり。いやあ酒が進む割烹だなあ
みおう鶏の松風に鰹と酒盗で止め。
炊き立ての白ご飯を三膳、最後はオコゲを湯桶で。
最後は奥様手作りの和菓子。早生をいただく。
そしてやはり自家製の干菓子にお薄で、心が座った。
よくしゃべる31歳のご主人。きれいな奥さん。
料理を作ることが好きでたまらないという気風が伝わってきて、清々しい。
少し話した。十年先二十年先を見据えて、慢心することなくやっていきたいと。
若い三十代中心の客層。分かりにくい、敷居が高くもある割烹も、彼のような店で親しみ、新たな客を育んでいってほしいと思う。
その意味で、今までの東京にはなかった店ではないだろうか。