東京とんかつ会議21かつ吉

とんかつ会議 ,

東京とんかつ会議20かつ吉
水道橋「かつ吉」の銘柄豚上ロースかつ定食2100円
<肉3、衣2、油2、キャベツ2、ソース3、御飯3、新香2、味噌汁2、特記なし 計19点>

 今年から始めた、銘々が東京のとんかつ屋さんを回り評価するという≪東京とんかつ会議≫も、20軒となった。
 20軒目は「かつ吉」。創業50数年、この会議でも取り上げた、秋葉原「丸五」をはじめとして、金町「喝」、下北沢「かつ良」など(恐らく東銀座「かつ銀」も系統ではないかと思われる)、全国に数多くの出身者を持ち、都内にも計4店舗を構える、とんかつ界では、「井泉」に注ぐ一大勢力の人気店である。
 100人は入るという大型店で、民芸調な設えの中、店主が集めたという、伊万里焼のそば猪口や皿などが飾られる店内は、重厚な雰囲気を漂わせている。
 定食を頼むとまず運ばれるのが、キャベツの千切りを中心としたサラダと、キムチ、野沢菜、大根のごま油風味の三種のお新香。いずれもどっさりと盛られ、お変わり自由という、この店ならではの心意気である。
 キャベツは極細で、甘みがあり。お新香も味が確かであるが、とんかつの味を切るには、あっさりとした糠漬けなども欲しいところである。
 分厚いカツは、中心部をロゼに残して低温で揚げられている。噛めば、脂に甘い香りがあり、肉は繊維がきめ細かくしまっており、歯を立てる喜びを感じさせる。衣は中粗。サクサクと軽快だが、一部衣が剥がれてしまう点と、やや油が残る点が気になった。
 両端の脂身の多い部位を幅広く切っている点が他店にはなく、脂好きに齧りつく醍醐味を与えている。
 自家製のソースは二種。甘口は、甘さにいやらしさがなく、後口もいい。辛口は、辛味と甘味のバランスがよく、脂身と相性がいい。また添えられている、輪島の塩の質が素晴らしい。
 味噌汁は、八丁味噌の香りが生きたなめこ汁。ご飯は紫蘇の微塵切を入れ込んだ紫蘇ご飯と、白いご飯。いずれも質が高い。もちろん味噌汁もご飯も、おかわりは自由。
 お茶は、最初が番茶で、食後は紫蘇昆布茶。女性のサービスの心配りがよく、実に心地よい店である。