この料理を真似しようと作ったが、似て非なるものしか出来なかった.
「かくや」という。
沢庵と野菜を細かく刻んで合わせた料理で、徳川家康の料理人の岩下覚弥という人物が考案したとか、高野山の隔夜堂を守る、歯の弱い老僧のために考えられたとか、沢庵和尚の弟子の覚也が考案したとか、いわくの多い料理である。
名古屋「花いち」の「かくや」は、沢庵と胡瓜、茗荷を細く同寸に刻み合わせただけの簡単な料理ながら、沢庵の塩気とうま味、胡瓜のみずみずしさと爽やかな香り、茗荷の刺激的な香りが共鳴して、食べた途端に「ああっ」と、膝を打つほどうまいのである。
しかしこんなに沢庵を細く切れない.それぞれをきっちり同寸に切れない。
という点で、人々は断念するのである。
花市銀蔵さんの手によって、細く細く切り合わされた「かくや」は、ふわりと空気を含んでいるので香りが高く、また包丁の冴えがあるからそれぞれがシャキッと弾み、「ああっ」と、膝を打つほどうまいのである。
「かくや」という
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