六本木「オービカ・モッツァレラバー」のトリュフピッツァ。
「ははは」。食べて笑うしかない。
トリュフの妖艶香とモッツアレッラ・ブッファラが出合い、丸い甘みが生まれている。
一口食べて香りが、二口食べて香りが膨らんで愉快になる。
昔代官山「ヴィーナス」で、大渕シェフの作る松茸ピザが痛快だったことを想い出す。
茸とピッツァ生地は相性がとてもよろしいのだ。
牛肉やフォアグラと合わさり、どうだと迫るトリュフより、エッチが身近で、心の隙間にすうっと入ってくる小気味の良さがある。
オリーブオイルをかけると、たちまち香りが危うく膨らみ、さらにコーフンするのであった。
松濤「オステリアアッサイ」では、いかにも誠実そうで、あまり商売には長けていなさそうなシェフが、丹念に料理作り上げる。
この日はメインに「オーソブッコ」。
最近では見かけなくなったミラノの郷土料理だ。
ミラノに忠実に仔牛を使ったそれは、仔牛ならではの穏やかな滋味と柔らかな味ワイのゼラチン質が、野菜の優しい甘みと見事に調和する。
大向こうに見栄を張った味付けではない、郷土の素朴なうまさを見つめた料理は、心を温める。
この味わいなら、グレモラタはいらないね。
地味ながら、こういう料理を大切にするシェフを応援したくなる。
店は客の入りが半分というところ。
「白いかとポルチーニのニョッキ」の互いの食感の計算とブロードの出過ぎない調味、
「マイワシのリングイネ」のシチリア風を踏襲しながら、自からの考えでマイワシの風味を生かしたパスタも、うまい。
六本木
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