人見知りで朴訥な

食べ歩き ,

人見知りで朴訥な、新屋さんの料理であった。
どこか懐かしい。そして心がほっこりと座る。
日本で手に入る干しダラは塩辛いので、タラを3時間塩漬けにしてからさっと茹でて、にんにくと玉葱でゆっくりコンポートする。
それを荒切りしたパンと混ぜ合わせ、薬を使っていないピキオスの漬け物に詰める。
赤いパプリカをオイルで煮て、干赤ピーマンと合わせつぶして、塩とケレス酢で調味し、ソースとする。
一口食べて思わず、ああおいいしなあという言葉が出る優しさは、自然の風合いを大切にし敬意を払う、バスク人そのものの料理である。
ドメーヌ・コアベ ジャン・デ・ヴィーニュ・ジュラソンと合わせれば、心がゆっくり溶けていく。
ため息一つ。素朴な滋味一つ。
ここには不変の泰平があって、兵士はいるが、和んでいる。
今年中に再稼働するという、彼の未来に期待して。