これは一つのロマンである。
トルテリーニは、小さな体に悠久の時を詰めて、鎮座している。
一つ食べて、ため息が漏れ、二つ食べて安らぎ、三つ目を食べて笑う。
愛おしさを深め、無くなっていく寂しさに泣く。
36ヶ月のチーズ、パスタ、中に詰められた肉という三者が、優しげに丸くなって、境界線がない。
強さがどこにもないのに、たくましい。
今まで作られてきたこの料理の、どの作り方とも異なるのに、まるで原初からそうであったような、初々しさがある。
練りに練られた料理であるはずなのに、そんな素ぶりは微塵も見せず、さらりとして、てらいがない。
そして食べ終えた瞬間から、このトルテリーニは夢となる。
モデナ「オステリア・フランチェスカーナ」のスペシャリテ
Tortellino in crema di Parmigiano Reggiano
モデナの郷土料理、トルテッリーニと36ヶ月熟成パルミジャーノ レッジャーノのクリーム