<駅弁勝負> 第40番     

駅弁 ,

<弁当勝負第28番>
久々に勝負した。
今回は、勝負の前から勝ったも同然である。
崎陽軒の「おべんとう夏」680円に、崎陽軒の「昔ながらのシウマイ」15個入りを買うという、大人買い。
反則気味ながらも合わせて1270円と、そんな高価ではないところもいい。
恵比寿ビールと軽井沢ビールを買い、シウマイと弁当のおかずでビールを飲みながら、御飯に移っても十分すぎるほどシウマイがあるという、嬉しい展開である。
芥子を均等につけてから、「おべんとう夏」の人参や蓮の煮物、コーンの寄せ揚げ、あおさ入りしんじょなどとシウマイを肴にしつつ、ビールを飲んで幸せになる。
御飯の上の大根葉とちりめんじゃこの炒り煮は、シウマイで御飯をかき込む時の邪魔になるので、こいつも肴にする。
ああ、裕福なりと、一人悦に入っていると、近くの推定40代前半女性が、弁当を取り出した。いざ勝負である。
出てきた弁当は、高崎弁当株式会社の「ハローキティーだるま弁当」である。
キティーちゃんが好きなのね、「ふふ」。思わず鼻先で笑ってしまった。
いくらクオリティーが高いことが知られる「たかべん」でも、キャラクター弁当じゃ、勝負にはなりません。と勝ち名乗りを上げようとしたとき、もう一個とりだした。
弁当ではない。
「つきぢ松露の玉子焼き」、7種盛り合わせである。
傍らには、僕と同じ軽井沢ビール。ビールを飲みながら玉子焼きをつまみ、卵焼きの味を確認してはビールを飲み、時にハローキティーだるま弁当のおかずをつまみ、またビールに手を伸ばす。
キティちゃんだけでなく玉子焼きもお好きなのである。
しかも、合わせて買うと1740円。昼から積極的な投資である。
富豪かもしれない。
なにやら見ているうちに、キャラクター弁当というだけでバカにしていた自分が小さく感じられた。
それほどまでに玉子焼きをつまみ飲む姿が優雅なのである。
こんな手があったのか。
僕は、これだけのシウマイを前に、敗北感を味わうのであった。